top of page
検索
  • 執筆者の写真kibou7kateikyoushi

櫛 ~静電気と神話をつなぐ道具~

更新日:3月1日


この冬一番の冷え込みですが,お変わりありませんか。

私たちを取り巻く環境がいよいよ悪化してきました。

命の水も見えないけれど汚染されていて,

そのままではとても飲めそうにありません。

大変な時代になってきました。

真実の情報を得て,自分の身は自分で守るつもりで日々過ごしています。



🌳前回の記事で,静電気について書きましたが,

今回は,まずは静電気をためやすい髪に対処する方法の一つについて。


たくさんの髪の毛がこすれるたびに静電気が起こります。髪の毛にほこりがたまりやすい

のもそのためです。

髪に静電気をためない方法として,静電気防止ブラシ・天然素材の櫛を使うなどがあります。

ずいぶん前に静電気防止ブラシを使ったことがありましたが,やはり静電気は起こるので,それからずっと天然木の櫛を使っています。


天然木の素材には柘植(つげ),みねばり(オノオレカンバ),イスノキ,桃,桜,竹など色々あります。

丈夫で,静電気が起こりにくいし,地肌への当たりが柔らかく,使っていると色がだんだんと深みを増してきます。

水洗いをすると光沢が無くなったり ゆがみが出たりするので,お手入れには椿油を使います。その油で,髪にも艶が出ますよ。


彫りや蒔絵・透かし彫りなどの細工を施したものもあります。でも,そのような細工ができる職人さんが,もう少なくなってきているそうです。


私が下の写真の櫛を手に入れた頃はまだ,見事な細工の櫛がたくさんあったのですが,

今は本当に減ってしまいました。日本の素晴らしい伝統文化を,ぜひ継承してもらいたい

です。





🌳さて,お次は神話に登場する「」についてです。

日本最古の書『古事記』から,櫛にまつわる話をご紹介。

櫛って,不思議な力を秘めているようですよ (^^♪

                       参考文献:『古事記』平成19年,角川ソフィア文庫



🌺伊耶那岐命(いざなきのみこと)と 伊耶那美命(いざなみのみこと)

                                       上巻「黄泉の国訪問」より 

妻の正体を暴いた櫛

 イザナキは,亡き妻・イザナミに会うため,黄泉の国に行きました。

 そこで,湯津津間櫛(ゆつつまぐし)の太い歯を1本折って火を灯してみると,

 イザナミは変わり果てた醜い姿になっていました。イザナキは驚いて逃げ出します。


イザナキを危機から救った櫛                          

 醜い姿を見られて恥をかかされたと怒ったイザナミは,黄泉の魔女たちに命じて

 イザナキを追わせます。必死で逃げるイザナキは,湯津々間櫛の歯を折り取って

 投げつけるとそれが竹の子になり,魔女たちがそれを食べている間に黄泉の国から

 脱出することができました。



🌺速須佐之男命(はやすさのおのみこと)と 櫛名田比売(くしなだひめ)

                                上巻「八俣の大蛇(やまたのおろち)」より

娘が姿を変えた櫛

 乱暴なふるまいの末に高天原を追われたスサノオノミコトは,出雲の国に降り立ちます。

 そこでクシナダヒメとその両親に出会い,ヒメが八俣の大蛇の生贄(いけにえ)になると

 知ります。

 そこでスサノオはヒメを湯津爪櫛(ゆつつまぐし)に変え,髪にさして大蛇を退治しま

 す。



🌺倭建命(やまとたけるのみこと)と 弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)

                              中巻「荒海なぎ軍船進む」より

荒海に身を投じた妻の形見の櫛

 東方へ遠征に出たヤマトタケルノミコトが海を渡ろうとしたとき,海の神が荒波を

 起こして船が進めません。

 そこで,妻のオトタチバナヒメノミコトが神の怒りを鎮めるために自ら海に入りました。

 するとたちまち波は静まり,船を進めることができました。

 それから7日後,ヒメのが海岸に流れ着き,墓を作って形見として納めました。



※ ゆつつまぐし:竹で作った神聖な爪櫛 歯の目の細かい聖なる櫛


💛 櫛には悪鬼や邪気を払う特別な呪力があるとされています。また,物事を成就させる

不可思議な力を持っているとも考えられています。

また,女性生命力の源泉であり,櫛の素材であるも生命力の溢れるものとされています。

これらを念頭に置いて上の話を読むと,色々なことの理由が分かりますね!



江戸時代から中山道の名物であった「お六櫛」の由来にも,頭痛で悩んでいた「お六」と

いう女性が,御嶽山に詣でて願掛けをしたらお告げがあり,その通りに「みねばりの木」で櫛を作って朝夕髪を梳いていたら全快した,とあります(信州木祖村役場HPより)


櫛の素材として「柘植(つげ)」は有名ですが,「みねばり」は あまりなじみがないかもしれません。

みねばりの木は1mm太くなるのに3年かかると言われるほど成長が遅く,それだけに目の詰まった木質になるのです。

それを切るには斧(おの) が折れるほど堅いので,「 オノオレカンバ」の名を持っています。

確かに,みねばりの櫛は持つと重くてしっかり詰まっている感じがします。堅いので歯の間隔も細くできます。


静電気をためない自分好みの櫛を使い込んで変化を楽しみ,育てていくのもいいですよ。



💚後半は,幼い頃から好きだった神話と櫛の,趣味の世界になってしまいました (^^ゞ

お付き合いいただき,ありがとうございます。

まあ,私たちにとっては,数学も理科も,趣味の世界のようなものですが……(^^♪



bottom of page