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夕顔と扇

  • 執筆者の写真: kibou7kateikyoushi
    kibou7kateikyoushi
  • 7 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:6 日前


夕 顔
夕 顔

九州や北陸など豪雨によって被災された皆様,謹んでお見舞い申し上げます。

大雨の後の猛暑,心身ともにお疲れのことと思います。

皆様と 復旧活動に携わる方々のご無事を,そして復旧活動が進みますよう,引き続き

お祈りいたします。


数年前のこの時期,豪雨によって住んでいる地域が 広範囲にわたって水害に遭いました。 自分の経験したことしかお伝えできないので,参考になるかどうかわかりませんが,

少しでもお役に立てると幸いです。 水害に遭って分かったこと・災害に備えて




💛朝顔や夕顔の咲く季節ですね。毎日花を見るのが楽しみです。

朝顔は昨年の記事でご紹介しましたので,今回は夕顔です。夕顔は 夕方に咲いて翌日の

昼までに枯れてしまう性質から,「黄昏草(タソガレグサ)」という別名がついています。


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朝顔と夕顔は 名前も見た目もよく似た花ですが,

朝顔はヒルガオ科,夕顔はウリ科。

夕顔には右の写真のような実が生ります。その実を細長く

紐状にむいて乾燥させた食品が「かんぴょう」です。

巻き寿司の中に入っていますね。(私は,かんぴょうが好きです

が,乾燥させず生の実を切って煮たものも好きです (^^♪ )


糸瓜(へちま)や瓢箪(ひょうたん)も,夕顔の仲間です。

小学生の頃,糸瓜でスポンジを作りました。懐かしい思い出

です。          参考:BOTANICA




💚「夕顔」と聞いて思い浮かべるのは,『源氏物語』と「扇」。

手折った夕顔の花を白い扇に載せるのです。その場面をどうぞ。


『源氏物語』原文)

 …… 黄なる生絹(すずし)の単袴(ひとへばかま)長く着なしたる童の

    をかしげなる 出で来てうち招く。白き扇の いたうこがしたるを

    「これに置きて参らせよ。枝も情なげなめる花を」

    とて取らせたれば ……


 …… ありつる扇御覧ずれば もて馴らしたる移り香 いと染み深うなつかしくて

   をかしうすさび書きたり。

    「心あてに それかとぞ見る 白露の 光そへたる 夕顔の花」


 …… (それに対して源氏は)御畳紙にいたうあらぬさまに書き変へたまひて

    「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 花の夕顔」



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(現代語訳)

 …… 黄色い生絹の単袴を長く着こなした女童で,かわいらしげな子が出てきて,

   (源氏の随身を)招いた。白い扇で たいそう香を薫きしめたのを差し出して,

「これに載せて差し上げなさいね。枝も風情なさそうな花ですもの」

   といって与えたところに ……   


 …… 先ほどの扇を(源氏が)ご覧になると,使い慣らした主人(夕顔)の移り香が

    とても深く染み込んで慕わしくて,美しく書き流してある。

    「当て推量に あなた様でしょうかと思います 白露の光を加えて

     美しい夕顔の花は」


 …… (それに対して源氏は)御畳紙にまったく別人の筆跡にお書きになって

    「もっと近寄ってどなたかとはっきり見ましょう 黄昏時にぼんやりと見えた

     美しい花の夕顔を」     参考:古典の改め




💚いかがでしたか。上記の場面が想像できたでしょうか。

『源氏物語』は主語などが省略されていることが多いので,敬語や状況などから

「誰がどうしたか」を考えます。読み進めていくとだんだん慣れてきますよ。

夕顔の花の白に,扇の白。「夕顔」と呼ばれる女性のイメージは「白」。

物語を読むと,白を印象的に使ったのが分かる気がします。




💗『源氏物語』を読んでいても,扇は,あおぐだけでなく,顔を隠す・花を載せる・

歌を書く・鳴らして人を呼ぶ・舞に使うなど,使われる場面はたくさん!


また,扇への趣向の凝らし方(素材や色・香りなど)で自分を表現したり,持ち主の人柄や嗜好・品格などをうかがい知る等,扇の果たす役割は大きいのです。登場人物や物語

そのものに彩を添える道具です。香りと共に……。

                         紫式部と源氏香続・紫式部と源氏香


そうそう,扇は遊びにも使われます。

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京都旅行したとき,投扇興(とうせんきょう)体験をしました。

木箱の上に置かれた的(蝶の形をしている)に

向かって扇を投げ,落ちた扇と的の形によって

点数を競います。『源氏物語』にちなんだ点数表

なんですよ。

けっこう楽しくて,雅な遊びです。江戸時代に

流行った遊びだそうです。

(投扇興で使う扇は,開いたら閉じにくい扇になっています)  参考:扇や 半げしょう


扇(手に持ってあおいで風を起こす道具)・扇子(折りたためる扇)は,今でも「和」には欠かせませんよね。

団扇(うちわ)とは違った趣があるので,何本か持って使っています。長く使っているので,あおぐと漂ってくるはずの香りがほとんど残っていませんが……。


暑い夏,お気に入りの1本で涼をとってはいかがでしょう (^^♪




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