あゝ宝くじ ～夢の値段と現実～

各地で今季一番の冷え込みとなる寒さ。外は風が強くて，木の葉が舞っています🍂

そんな中でもリュウノヒゲは元気！ 以前の記事でリュウノヒゲの花をご紹介しました

が，今の季節は種子が鮮やかに色づいています。

この種子は，はじめは緑色で，熟してくるとコバルトブルーになります。細長い葉が

龍の口ひげならば，種子は龍の目のように見えて，何だか おめでたい気がします。

種子は春先まで残るはずなんですが，うちでは だいだい鳥が食べてしまって残らないん

ですよ。葉だけになっても，緑の葉は頼もしくて嬉しいです。　　　　

🌿早いものでもう師走。年末が近づいてくると，そわそわする人もいるのではないでしょ

　うか。今回は，そわそわを引き起こす宝くじについてです。

　　※ 決して宝くじを推奨しているわけではありませんよ。むしろ，その逆です。

　 確率の勉強の題材として，また，宝くじの真実を知ってもらうために，確率の授業で

　一度は とりあげます。

　 例えば，宝くじ１枚を 300円で買ったとして，当選金がどれくらい得られると期待できる

　でしょうか？　ここでそれを計算できるようになりましょう (^^)/

🌿宝くじの歴史は古く，今から 2,200年以上

　 前に，中国で「万里の長城」の建設費の一部を

　くじの収益で賄った記録が残っています。

　 その他にも，トレビの泉や大英博物館など

　 世界の観光名所にも宝くじは貢献してきたとの

　こと。

　 日本では 約 400年前に箕面山瀧安寺（大阪府）

　で始まった行事が起源とされます。選ばれた人

　 に福運のお守りを授けるものだったとか。

　その後「富くじ」が過熱して不正も横行したため，

　全面的に禁止されました。他国も同様の経緯をたどっています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　参考：The Asahi Shimbun GLOBE

🌿さて，いきなり宝くじの計算にいっても大変なので，まずは簡単な問題で腕馴らし

　 しましょう。

　ちなみに，この後に出てくる「期待値」というのは，今回の場合でいうと，

　 くじを１枚買った（引いた）ときに，手に入ると期待される金額のことです。

　 言い換えれば，全てのくじが買われて（引かれて）当選金も支払われたとして，

　 その平均の金額（１枚当たりの当選金額）のことです。

🌺問題１：

💛考え方：

　　◎ 高校の数学の教科書では，

　　　　　　　（期待値）＝｛それぞれの（賞金）×（確率）｝の和　　　

　　 として式を作ります。

　　◎ 先ほど上で説明したように，「当選金の平均」を求める式でも大丈夫ですよ。

　　　 こちらの方がなじみがあって求めやすいかもしれませんね。

💚答え：

　　　※「当選金の平均」を求める式ならば

　　　　　　　　（期待値）＝［｛それぞれの（賞金）×（本数）｝の和］÷（総本数）　

　　　　　　　　　　　 　＝（ 500 × 5 + 200 × 10 + 100 × 15 + 0 × 70 ）÷ 100

　　　　　　　　　　　 　＝（ 500 × 5 + 200 × 10 + 100 × 15 + 0 × 70 ）× 1 / 100 ……★

　　　　　　　　　　 ＝ 60　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　となります。

　　　　　確率を用いて計算した式の 1 / 100 をくくりだせば，★ と同じ式になりますよ。

🌿計算の仕方が分かりましたか？　では いよいよ本番です！

🌺問題２：宝くじの裏には当選金に関する情報が記されています。

　　　　 　下の表の宝くじの期待値を求めましょう。

　　　　　 300円で夢を買い，得られると期待できる金額はいくらでしょうか ⁉

💛考え方：表も値も大きいですが，上の「問題１」と同様に解きましょう !(^^)!

💚答え：当選金とそれが当たる確率は，

　　　　 右の表のようになる。

（上の表に「2,000万通当たりの当選金」と書いて

　　 あるので，くじは全部で 20,000,000 枚とします。）

　　　　よって，当選金額の期待値は

　　　※ 式がとても長いので，はじめから 1 / 20,000,000 を前にくくりだしています。

　　　※ 数が大きいので，３行目は約分した式にしています（上・下 それぞれ「 0」 を５個ずつ消しています）。

🌿税金を徴収されるのは嫌でも，宝くじは買ってしまうという「嫌われない財源」です。

　 一人ひとりを見れば得をする人もいますが，主催者側が必ずもうかるように作られてある

　のです。

　 「宝くじで夢を買う」なんて言いますが，

　確かにはずれることが圧倒的に多いでしょ

　 う。

　宝くじを買ってきたお金を考えてみると，

　 そのお金でどんなにおいしいものが食べら

　 れて，家族旅行ができたか，なんて，それ

　こそ夢のようなことができたのかもしれま

　 せんね。

　はかない夢をつなぎなが夢破れた人も，９月２日（宝くじの日）には「お楽しみ抽選」

　（それまでの１年間のはずれくじを対象にした敗者復活戦）で，もう少し夢を見させてくれるといった

　 ところでしょうか。そこで当たりくじの見逃しも同時にチェックすればいいのでしょう

　ね。

　 授業では班で取り組ませていました。用意してある何種類かの宝くじ（はずれくじ）

　から，それぞれの班でくじを選び，期待値を求めます。

　 その後 結果を発表し合うのですが，用意した宝くじでは だいたい 47％ ～ 50％ で，

　 どのくじも期待値は １/２ に届きませんでした。

　 「うちに（はずれくじが）いっぱいある～」という生徒，きっとおうちの人に結果を

　教えてあげたのではないでしょうか🤭

　 「もっと割のいい宝くじを探すぞ」なんて思わないでくださいね。宝くじの販売などの

　規制に関しては「当せん金付証票法（とうせんきんつきしょうひょうほう）」に定められていて，

　 当選金の総額は，発売総額の５割以下などと決まっているんです。

　もしお手元に宝くじがあったら，ぜひ期待値を求めてみてください。数学の勉強を

　 兼ねた社会勉強です。夢から覚める人もいるかもしれませんね (^^ゞ