🍎前回に続き,今回も理科の講師「物理や」による記事です。
前回の記事で「ウラン」について書きましたが,
今回は「放射線」と一緒に使われる言葉や,
放射線そのものについて触れておきたいと思います。
始めに,「放射性物質」「放射能」「放射線」と
いう,よく似た字面のワードの違いです。
光で例えると,光源 が 放射性物質,
光源が光を出す能力 が 放射能,
光 が 放射線 に当たります。
放 射 線:のちほど触れますが,粒子の流れや波長の短い電磁波です。
放 射 能:放射線を放つことができる能力です。
放射性物質:自然に放射線を放つ物質です。「放射能を持つ物質」と言うこともできます。
これらのワードの違いを知るだけでも,放射能関連の記事などを読む際の理解度が向上すると思いますが,「放射線」の分類を知ると,より理解しやすくなります。
放射性物質から出る主な放射線には
「α(アルファ)線」「β(ベータ)線」「γ(ガンマ)線」がありますが,
それぞれ異なる粒子です。不安定な原子核が安定するために放射線を出し続けます。
上の表の中にある「電離作用」というのは,
「物質を通過するときに原子中の電子を弾き飛ばし,イオンにするはたらき」のことです。
これが生物の体内で起こると,生物の細胞やDNAに影響を与えることから,
将来のがん発症の原因になることもあります。
と言っても,私たちは常に微量の放射線を浴びており,細胞が損傷しているのですが,
健常ならば,その損傷する速さよりも修復・対応する方が速いので,健康への影響は
ありません。
しかし,長期にわたって浴びる放射線が多めだと発がんの可能性は高くなりますし,
短時間で大量に放射線を浴びると急性の障害を起こすこともあります。
ここまで放射線は人体に有害なのかと思わせるような内容でしたが,人体への影響が軽微だと判断される放射線量で,医療分野(がんの治療やX線検査)への応用もされている便利なものでもあるので,一概に「放射線は危険だ!」と言いたいわけではありませんよ。
しかし,できるだけ放射線を浴びないようにした方がいいのは確かです。
(ここまでの内容の参考文献:『物理基礎』(令和4年)数研出版 )
🌳参考までに
〇 チェルノブイリ原発事故(1986年)の後の健康被害の状況です。
5年後あたりから健康に影響が出てきています。
〇 福島でも,原発事故(2011年)の後には甲状腺がんが多発しています。
〇 つい最近のウクライナの状況です。
GATEWAY PUNDIT ポール・セラン 2023年5月14日
「5月12日頃にフメリニツキーでガンマ線の明らかなスパイクが検出され,
放出量は翌日も増加し続け,その後も高いレベルが続いた」
🍎「物理や」の他の記事はこちら
Comments