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執筆者の写真kibou7kateikyoushi

放射性物質の「半減期」って何?

更新日:2023年7月21日

🍎今回は,放射性物質の説明で頻繁に登場するワード「半減期」についてです。

 理科の内容ではおなじみの講師「物理や」に

 よる解説です。


半減期とは

 原子核が放射性崩壊によって他の原子核に

 変わるとき,

 もとの原子核の数が半分になるまでの時間

 は,それぞれの原子核で決まっていて,

 この時間を半減期といいます。


半減期の説明の1行目「他の原子核に変わる」というのは,放射性物質が放射線を出すときに起こる現象を指しています。

前々回に登場したウランでは,「ウラン235 → α線+トリウム231」

という放射性崩壊を起こします。


3行目の「時間」についてです。

放射性崩壊は,いつ起こるか分かりません。

ある1つの原子核が,1秒後に放射性崩壊を起こすかもしれませんし,

1億年たってもそのまま残っているかもしれません。

しかし,「非常に多くの原子核のうち,半数が崩壊するまでにかかる時間」

というのは,統計から分かるのです。


4行目のとおり,その時間は原子核の種類によって決まっており,

「〇〇という原子核の半減期は□□である」のように,

簡潔に表現することができます。



さて,半減期を定義したところで,半減期について,もう少しだけ深掘りしてみます。

例として,ヨウ素131 という,半減期およそ8日の放射性物質を扱います。


 🌺ヨウ素131 がもとの数の半分になるまで,8日かかります。

   では,さらに8日が経過したら(合計で16日が経過したら),

  ヨウ素131 の数は,もとの数の何倍になっているでしょうか?


 🌳「8日で半分になるのだから,さらに8日経ったら全部崩壊している」と

   直感的に考えてしまうかもしれませんが,これはよくある間違い方です。


  実際には,「最初の8日でもとの半分に減る」

       →「次の8日で,残り半分のうち,さらに半分が崩壊する」

ということになるので,もとの 1/2×1/2 = 1/4 (倍)になります。


ですので,ヨウ素131 は,8日経つごとに,半分,さらに半分,

さらに半分……と減っていきます。


ヨウ素131 の例を,もっと一般的に(他の原子核でも扱えるように)拡張した,

半減期の式が以下になります。参考までに。


この半減期の式は,特に重要というわけではありません。

下に半減期のグラフをかきましたので,半減期のイメージを少しでも補強できていれば

幸いです。



ちなみに,ウラン235 の半減期は約7億年ウラン238 の半減期は約45億年です。

気が遠くなりますね。


なお,よく見かける放射線の単位

    μSv(マイクロシーベルト),mSv(ミリシーベルト)

などがありますが,

1mSv=1,000μSv です。


放射線が人体に及ぼす影響は、放射線の種類やエネルギーによって異なります。



放射線から身を守るには,

 ・遮蔽(コンクリートや鉛など,放射線を効果的に遮蔽できるものを設置する)

 ・距離(放射性物質と十分な距離を保つ)

 ・時間(放射線を受ける時間を短くする)

を念頭に置いて行動することが大切です。

放射能が来ているときは,外出を控えることを強くおすすめします。


                    参考文献:『物理基礎』(令和4年)数研出版



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