🍎今回は,放射性物質の説明で頻繁に登場するワード「半減期」についてです。
理科の内容ではおなじみの講師「物理や」に
よる解説です。
半減期とは
原子核が放射性崩壊によって他の原子核に
変わるとき,
もとの原子核の数が半分になるまでの時間
は,それぞれの原子核で決まっていて,
この時間を半減期といいます。
半減期の説明の1行目「他の原子核に変わる」というのは,放射性物質が放射線を出すときに起こる現象を指しています。
前々回に登場したウランでは,「ウラン235 → α線+トリウム231」
という放射性崩壊を起こします。
3行目の「時間」についてです。
放射性崩壊は,いつ起こるか分かりません。
ある1つの原子核が,1秒後に放射性崩壊を起こすかもしれませんし,
1億年たってもそのまま残っているかもしれません。
しかし,「非常に多くの原子核のうち,半数が崩壊するまでにかかる時間」
というのは,統計から分かるのです。
4行目のとおり,その時間は原子核の種類によって決まっており,
「〇〇という原子核の半減期は□□である」のように,
簡潔に表現することができます。
さて,半減期を定義したところで,半減期について,もう少しだけ深掘りしてみます。
例として,ヨウ素131 という,半減期およそ8日の放射性物質を扱います。
🌺ヨウ素131 がもとの数の半分になるまで,8日かかります。
では,さらに8日が経過したら(合計で16日が経過したら),
ヨウ素131 の数は,もとの数の何倍になっているでしょうか?
🌳「8日で半分になるのだから,さらに8日経ったら全部崩壊している」と
直感的に考えてしまうかもしれませんが,これはよくある間違い方です。
実際には,「最初の8日でもとの半分に減る」
→「次の8日で,残り半分のうち,さらに半分が崩壊する」
ということになるので,もとの 1/2×1/2 = 1/4 (倍)になります。
ですので,ヨウ素131 は,8日経つごとに,半分,さらに半分,
さらに半分……と減っていきます。
ヨウ素131 の例を,もっと一般的に(他の原子核でも扱えるように)拡張した,
半減期の式が以下になります。参考までに。
この半減期の式は,特に重要というわけではありません。
下に半減期のグラフをかきましたので,半減期のイメージを少しでも補強できていれば
幸いです。
ちなみに,ウラン235 の半減期は約7億年,ウラン238 の半減期は約45億年です。
気が遠くなりますね。
なお,よく見かける放射線の単位は
μSv(マイクロシーベルト),mSv(ミリシーベルト)
などがありますが,
1mSv=1,000μSv です。
放射線が人体に及ぼす影響は、放射線の種類やエネルギーによって異なります。
放射線から身を守るには,
・遮蔽(コンクリートや鉛など,放射線を効果的に遮蔽できるものを設置する)
・距離(放射性物質と十分な距離を保つ)
・時間(放射線を受ける時間を短くする)
を念頭に置いて行動することが大切です。
放射能が来ているときは,外出を控えることを強くおすすめします。
参考文献:『物理基礎』(令和4年)数研出版
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