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執筆者の写真kibou7kateikyoushi

「ウラン」と言っても……

更新日:3月23日

🍎当塾の理科の講師「物理や」による記事です。

最近目にする機会があった放射性物質の「ウラン」

ですが,

一口に「ウラン」と言っても,

同じものを表しているとは限りません。


自然界に存在するウランは,ウラン235 と

ウラン238 の2種類です。


                          ※この分子モデルはウランではありません

この2種類の主な違いは質量(重さ)ですが,

ウラン238 の方が比較的安定しており,ウラン235 は不安定です。


これら2種類のウランは自然界では混ざって存在しているので,

ウラン全体としては放射性物質という扱いとなっています。


また,2種類のウランの性質の違いから,ウランを原子力発電の燃料にする際には,

ウラン235 の密度を高める必要があります。

             日本原燃「濃縮事業の概念」より

https://www.jnfl.co.jp/ja/business/about/uran/summary/



もともとウランは放射線を放つだけでなく発熱する物質ですが,原発の燃料に使われる

「低濃縮ウラン」では,発生する熱がより大きなものになります。

(福島第一原発の事故で聞いた「メルトダウン」は,この熱を制御する機構がうまく

働かなかったために,燃料が溶けてしまったことを指します)



さて,原発の燃料に使う低濃縮ウランを用意するにあたって,

当然「ウラン235 の濃度が低くなったウラン」が生まれます。

それが「劣化ウラン」です。


劣化ウランは原発の燃料には使えませんが,

ウランという物質の「密度(体積当たりの重さが)が大きい」という特徴に

注目されることがあります。


最近よく見る「劣化ウラン弾」がこれに該当します。

「劣化ウラン弾」という字面から「原爆」という連想をしてしまうかもしれませんが,

この2つは「全くの別物」です。


なぜなら,「原爆」に使われるウランは「ウラン235 の純度がほぼ100%」の,

超高濃度ウランとでも呼ぶべきものだからです。


とはいえ,劣化ウランにもわずかながらウラン235 が含まれているので,

放射性物質ではあります。

「劣化ウランだから安全」とは断言できないので,扱いには注意しなければなりませんね。



ちなみに,最近見かけた劣化ウランについてのコメントですが,

「弾薬庫の劣化ウラン弾が爆破された可能性も」

「西ウクライナの劣化ウラン弾薬集積所での爆発後,放射線量が急上昇」

といった,あり得ないとは言えないコメントや推測に紛れて

「劣化ウラン弾が核爆発」

というような,実はあり得ない妄想も流れてしまっているので,

情報の取捨選択は慎重にしなければなりませんね。



🌳ちょっとした参考程度に


GATEWAY PUNDIT   ポール・セラン 2023年5月14日

放射性パニック:ロシア人のミサイルがフメリニツキーのウクライナの弾薬庫を直撃し,

        大爆発を引き起こした

        -英国の劣化ウランタンク砲弾の保管場所が破壊された

        -地域の大気中のガンマ線急増



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