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執筆者の写真kibou7kateikyoushi

和算 ~日本の誇る数学~ 継子立て(ままこだて)

更新日:11月17日



ゴールデンウイークも後半に入りましたね。

連休課題,なんてものがあって,自宅学習の皆さんも取り組んでいるのでしょうか。


我が家のハナミズキが満開です! 去年は花が小さく,虫にもやられていましたが,

今年の花は大きくて元気です。

空から色々なものが降ってきたり,電磁波が強くなったり,水が悪くなったりで,

環境は悪化の一途をたどっていますが,自然は強いですね。



🌳前回,『徒然草』の中で「継子立て(ままこだて)」のことが書かれてある文章を

紹介しました。

「こんなところに和算が!」と,嬉しくなりますね 💕

今回は,その継子立てを詳しく見ていきましょう!



🌸継子立ての説話           出典:日本大百科全書(ニッポニカ)

室町時代から江戸時代にかけて行われた数学遊戯。

「立てる」は,碁石を並べて継子を後継ぎにする遊びであることからこの名が出た。

当時継子いじめは人気のある主題だったのである。

話はこうである。

ある所に先妻の子15人,実子15人合計30人の子をもった母があった。

後継ぎを選ぶのに先妻の子には白衣,実子には黒衣を着せて全部を輪になって並ばせ,

あるところから数えて10人ごとに除外していき,残った1人を相続人としようと定めた。

そして,図のように並べた。



数えていくと(図の白い着物の子は先妻の子 すなわち継子,黒い着物は実子),

白い着物の子は14人まで除かれてしまったので,

残った継子が「これでは一方ばかり抜けてしまうので,これからあとは

自分から数えてください」といったので,やむをえずその1人から数えていくと,

今度は実子15人が全部除かれてしまい,最後に先妻の子1人だけが残って

後を継いだという話。

継子立てが有名になったのは 吉田光由『塵劫記(じんこうき)』の五巻本に

図とともに載せられたからである。

                          


🌸『塵劫記』の図を元に,もう少し見やすい図をかいてみました (^^♪



『塵劫記』の図に「よミ始」と書いてあるところを上図の として,

時計回りに から1,2,3,……と数えていき,10 番目の子を除いていきます。

図の数字は,除かれる順です。

継子の中で最後に残った子が「15」の子です。

(『塵劫記』の図では,左下の黒い笠をかぶった子になります)

この子が「私から数えて」と言ったんですね。


賢い継子だったんですね。

継母は,最初の並びはすごく考えて設定したのに,

「私の子は15人みんな残っているし,まあ いいかぁ」

なんて思っちゃったんでしょうね。


そもそも,継子ばかりが抜けてしまうと作為的だと思われるので,

ところどころで実子も抜けるように並べるとか,

適当に並べさせて,相続させたい子が残るように逆算して数え始めを決めるとか,

ほかに戦略があっただろうに,と思うのですが……。

でも,それでは面白くないんですよね (^^ゞ


『塵劫記」には一般に「問題と正解」が書かれているのですが,

この「継子立て」にはそれがありません。

『塵劫記』第三巻の冒頭を飾る「継子立て」,「問題」として提示されなかったからこそ,

「この継母はどうすればよかったのか」「ちょっと設定を変えたらどうなるかな」なんて

話が盛り上がりそうで,数学的にも価値のある楽しい題材です。

私たちで応用・発展させる意図もあってここに入れたのかな,とも思います。


「継子立て」は日本で長い間親しまれてきた数学遊戯ではありますが,

遊びとしてだけでなく,

前回の兼好のように「死からは逃れられない」という例えとしてとらえる人もいれば,

不屈の精神で起死回生をねらって成功する例えとしてとらえる人もいます。


あなたの中で「継子立て」が膨らんできたでしょう💗


例えば

 ・人数を変える

 ・10人ごとでなく7人ごとに抜けていく

 ・黒と白の2つのチームで対抗戦

  (1つのチームは並ぶ順を決める,もう1つのチームは途中で1回だけ

   数え始めの位置や向きを変える)

などなど,色々と設定を変えて,ぜひ楽しんでみてくださいね (^^)/

                       参考:「継子立てにおける数理と文化」上野義明




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