2学期が始まり,授業が進むようになりましたね。
自宅学習の勉強の前や合間に,頭の体操や気分転換
に,「小町算(こまちざん)」に挑戦!
数を使った遊びを時々ご紹介していますが,これらは計算力だけでなく,想像力,数に対する感覚などを,
遊びながら身につけられますよ (^^♪
今回の「小町算」は,「小野小町」にちなんだ数遊びです。
小町算のルールは次の通り。
・1から9までの数を順に並べて使う
・数と数の間に +,-,×,÷,空白などを入れて,100になるように式を作る
(「空白」とは,「隣り合った数をくっつけて使う」ということ)
🌺例
1+2+3ー4+5+6+78+9=100
123-45-67+89=100
1×2×3×4+5+6+7×8+9=100
イメージがつかめましたか?
場合によっては
・ ×,÷ を使わない
・( ),べき乗,平方根,階乗などを使ってもよい
(べき乗,平方根,階乗についての紹介はこちら)
・右辺を100 だけでなくいろいろな値に変える
・左辺を逆順にする(9から1まで大きい順に並べる)
など,ルールを変えてもいいですよ。皆さんでやってみてくださいね!
🌷私がこうして記事を書いている間にも,若手の講師たちはいくつも式を作って
しまいます。
ここでも一番楽しそうにしていたのが「物理や」さん。あっという間に10個ほど
出してくれました。
その中の一つで,やや複雑なのがこちら。(階乗と平方根を使っています)
この手の問題は小さい頃から大好きだそうです (^.^)
🌸では,なぜこれが「小町」算なのでしょうか?
気になる名前の由来についてです。
💚まずは小野小町について
小野小町は平安時代の歌人です。
絶世の美女と言われ,日本では世界三大美女の一人とされています。
(あとの二人は,古代エジプトのクレオパトラと中国の楊貴妃)
小倉百人一首に選ばれている歌
「花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に(古今集)」
は有名ですね。
花に寄せてわが身の容色の衰えを嘆いたもので,その穏やかな嘆きには人を引き付ける
ものがあります。
掛詞・縁語・倒置法などの表現技巧にも優れていて,百人一首の選者である藤原定家が
賛美したのもうなずけますね。
私が持っている百人一首かるたの絵札には 後姿の小町の絵が描かれてありました。
美しすぎて描くことができないからだそうです。
ということで,
「1から9までの数が美しく並んでいて,小野小町のように美しい式」
だからです。
💚次に,なぜ「100」?
美しい小町に恋した男性も多く,その中の一人が深草少将
でした。
深草少将は小町があきらめきれません。
小町に,「百夜のあいだ,一夜も欠かさずに私のもとへ通って
きてくださったら,あなたの望みを叶えましょう」と言われ,
雨の日も雪の日も歩いて小町のもとへ通いました。
そしてついに望みが叶う百夜目に、力尽きて亡くなってしまっ
たと伝えられています。
この話にちなんで「100」。
💚その他にも,
「小町算」がおもしろくてはまってしまうと,時間の経つのも忘れてしまうので,
これに没頭すると(小町の歌のように)知らないうちに年を取ってしまう,というのも
聞いたことがあります。
小野小町については,いつどこで生まれ,どこで亡くなったか,どこで過ごしたかなども,はっきりしたことが分かっていません。
あるのは,小町の詠んだ美しい和歌と,数々の小町伝説。謎に包まれた小町。
これも小町に魅力を添えているのかもしれませんね。
今までの数遊びに比べると式が長くなりますが,それだけに達成感も一入(ひとしお)。
静かな夜に虫の声を聞きながら,小町算や古典文学に触れてみるのもいいですね!
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