米不足のニュースを見ますが,皆様は大丈夫でしょうか。
そろそろ新米の季節ですね。
近くの田んぼでは,悪天候にも負けず稲穂が重そうに実ってきていて,
「良い米ができるといいなぁ」と思って見ています。
🌳さて,今回は,豊臣秀吉の御伽衆(おとぎしゅう)の曽呂利新左衛門(そろり
しんざえもん)と,米粒の問題をご紹介します!
曽呂利は和泉国(大阪府)の生まれで,堺で刀の鞘を作る職人であったそうです。
腕が良く曽呂利の作る鞘は刀が「そろり」と抜き差ししやすかったことから
あだ名となり,後に曽呂利と名乗ったといわれます。
歌や俳句,茶の湯にも造詣が深い多才な人物で,堺の町衆のなかでとにかく
弁が立ち面白いと評判となり,その縁で秀吉の御伽衆に加えられたようです。
参考:日本史雑学庵
そんな曽呂利のエピソードの中から,数学に関するものを1つ見ていきましょう!
(🍀難しそうな式などはサッと見るだけで飛ばしてくださいね)
🌺問題:
秀吉を喜ばせては ご褒美をもらっていた
曽呂利。
いつものように「褒美に何が欲しいか」と言われて,次のように答えました。
「お米をください。将棋盤の ます目 の
1つ目には1粒,
2つ目にはその2倍の2粒,
3つ目にはそのまた2倍の4粒,
というように倍々に増やして置いて
いき,
すべてのます目(81個ある)に置いた
米粒をください。」(将棋盤ではなく,「広間の畳」,「1日ごとに」,という話もあります。)
さて,米粒を全部足し合わせると何粒になるでしょうか。
💛下図のように米粒●を 1粒,2粒,4粒,8粒 …… と置いていきます。
実際に描いてみると分かるのですが,次の ます目 に置くのは16粒で,
描く米粒の数がどんどん増えていきます。
ます目 5つ分の米粒の合計は, 1+2+4+8+16=31(粒)
まだかわいいものですね。
計算が得意な人,ぜひこの続きをやってみてください (^^)/
どこまで足し算できるかな?
💚答え:
(米粒の合計)=1+2+4+8+16+32+64+ …… +(81番目の数)
と表せます。
「1」「2」「4」「8」「16」…… は,
初めの「1」に「2」を次々とかけて得られます。
足し合わせる数の個数は,将棋盤の ます目 の数と同じ81個。
これを「初項 1,公比 2,項数 81 の 等比数列」といいます。
米粒の合計を求めるには,一つひとつ足していけばいいのですが,
俵杉算 でご紹介したように,長い式を2つ使う方法もあります(少し工夫が必要です)。
また,その方法を次のような式で表したものを使ってもいいです。 (その方法や式は,高校の「数列」という内容で学習します。)
💛「式があるなら簡単じゃないか!」なんて思わないでくださいね。
なぜって? では実際に式で計算してみましょう!
なんと,25桁!
大変すぎて涙がちょちょぎれそうです (@_@。
手計算では日が暮れて夜が明けそうなので,Wolfram Alpha で計算しました (^^ゞ
(「2の 81 乗」は「2^81」と入力します)
💛最初は「たいしたことはないだろう,欲のない奴だ」などと思っていた
秀吉ですが……。
家来に計算させてびっくり!
さて,いったいどれくらいの重さになるのでしょうか?
ます目に置いていく米粒をちょっと書いてみますね。
10 ます目 で 512
14 ます目 で 8,192 これは1合を少し超える程度の量です。
30 ます目 で 5 億 3000 万余り これは およそ 200 俵!
(1俵は約 60 ㎏ ですが,普通に買える大袋は 30 ㎏ です)
重さにすると 12 トン!! 参考:PRESIDENT Online
これにはさすがの秀吉も参ってしまい,別の褒美にしてもらったのだとか。
曽呂利新左衛門,やりますね~。
💗昨年の記事 紙を何回折れば月に行ける!? で,ドラえもんの道具「バイバイン」に
ついて触れました。
それをつけたものは,5分経ったら元の数の2倍に増えるという優れもの(先ほどの米粒の増え方と同じですね)。
もしよければ合わせてお読みくださいませ (^^♪
💗数列関係の記事はこちら!
・等差数列
・無限等比級数
💗計算やグラフ,その他 色々と便利なフリーの Wolfram Alpha を使った記事
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